最愛のあなたへ。
読みたいけど読みにくい。そんなウルフ作品を楽しもうと、グッと来た文章や表現を書き留めつつ、物語の進行チャートみたいなものを作ろうとする試み。
主観や推測だらけで勘違いもきっともりもり。ウルフはWolfじゃなくてWoolfなのがすき。
V(ヴァッソニャン).
[オーランドー](ちくま文庫 杉山洋子訳)
トリプル縁談からサーシャ呼びまで。
~おもな登場人物~
オーランドー:上流階級に帰ってきた主人公。ロシア男がロシア女だったので上も下もたいへんお喜びになる。
クロリンダ:オーランドーの嫁候補1。半年付き合ったけどめんどくせえメスだったのでフられた。ほんで死んだ。
ファヴィラ:嫁候補2。オーランドーの地雷を踏んで交際終了。歯並びがガタガタ。
ユーフローシニー:嫁候補3。前ふたつがうんこすぎたので相対的にマシに見えて晴れて婚約者となった良妻賢母ちゃん。ロシア女に婚約者をNTRれて脳を破壊される。
サーシャ:寒波を引き連れやって来た魅惑のロシアンギャル。ロシア語によるヤンチャなトークがオーランドーの恋心をくすぐる。本名マルーシャ・スタニロヴスカ・ダグマール・ナターシャ・イリアナ・ロマノヴィッチっておまえサーシャってどこからきたんだ
~チャート~
■チャート1:文武両道美少年・おれはオーランドー16歳
■チャート2:謁見にいこう!女王の威光にひれ伏しカウンター
■チャート3:女王とは遊びだったのね!なろう系ヤリチンの行きあたりばったりラブ
■チャート4:婚約成立!舞い戻り美男に縁談地獄!
■チャート5:婚約無視!ロシアから来たギャル姫君と大接近!
■チャート6:恋!そのすてきな女狐がオーランドーを行動させたッ!
■チャート4:婚約成立!舞い戻り美男に縁談地獄!
クロリンダ、ファヴィラ、ユーフローシニーという名前になっている。(p30)
・戻ってきたオーランドーに早速盛り上がった女たちは縁談にサカります。なかでも有力候補はこの3名。
程なくして彼女が天然痘で死んだ時もさして悲しまなかったのである。(p30)
・まずクロリンダちゃんと半年チョイ付き合ってみたけど、面倒くさい繊細さんだったし宗教的すぎたのでウンザリさよならまた来世。
浅はかにもオーランドーの窓の下でスパニエルを半殺しに鞭打ったのだ。(p30)
・お次はファヴィラちゃん。クロリンダとは真逆にバリキャリなイケイケウーマンでした。ある日ストッキングを破られたとして鞭で犬を半殺しにする武力を見せつけます。ベルモンド家かな?
・しかし動物好きのオーランドー、こうなると彼女の悪いところしか見えてきません。動物虐待する歯並びガタガタのブスはゴメンだぜーッ!アバヨ!
・オーランドーが得た教訓「歯並びが悪い奴は性格もねじけている」。
三人目のユーフローシニーに対するオーランドーの情熱はずっと本気なものだった。(p31)
・ユーフロちゃんはかなりマシでした!犬に優しく親身で歯並びも申し分なしです。オマケに楽器も弾けて歌も上手い!家柄も古く由緒あるユーフロちゃんこそ妻として相応しいのでありました。その当時イギリスを襲っていた大寒波に乗っかるような勢いで、せっかちに二人の婚約は成立しました。
・ちなデズモンド家
■婚約無視!ロシアから来たギャル姫君と大接近!
一月七日の夕方六時頃にそんなカドリールかメヌエットを一曲踊り終えて足を揃えたまさにその瞬間、モスクワ大公国大使館の天幕からこちらにやって来る人の姿に目をとめたのであったが、少年だろうか、女性だろうか、ロシア独特のゆるやかなチュニックとズボンでは性別さだかならず、もう猛烈に好奇心を唆られたのだ。(p34)
・大規模なパーティの中でまた行きずりに心惹かれる恋多きオーランドー。大寒波とともに現れた謎のロシア人に興味津々です。三人目のユーフローシニーに対するオーランドーの情熱はずっと本気なものだった(過去形)。
たった三秒間に彼女をメロンだ、パイナップルだ、オリーヴの木だ、エメラルドだ、雪中の狐だ、と呼んだ。(p34)
メロンだ、エメラルドだ、雪中の狐だ、と彼は狂い、見つめた。少年が、だって、ああ、男の子に決まってる――女ならあんなスピードで、あんな猛烈に滑れやしない(p34)
・彼女(?)を見て子供の頃好きだったものを脊椎反射で列挙しちゃうほど知能低下するオーランドー。うわーーー好きーーーーー(純心)
・うわーーー♥あれでも男っぽいかな?♥あれ男じゃね?♥
それじゃあ抱くなんて話にならん、とくやしさに頭を掻きむしらんばかり。(p35)
・男かよ!抱けねぇじゃん!!同性じゃ抱かせてくれる可能性低いな!!と苦心するオーランドー。ヤれないくやしさに頭をかきむしるこの美少年が主人公です。
手足、身振りは少年だが、男ならあんな口元はしていない。胸のふくらみもない、男なら深海から掬い上げたばかりのようなあんな色の目はしていない。(p35)
・でも女かもな!!!♥(錯乱)男っぽいけど女だな!!!♥(大錯乱)女なワケあるかあれは女だよ!!!!♥(カミーユ・ビダン)
笑ったけれども、不思議さに笑いは唇に凍りついた。今まで自分はどんな女を愛したのか。何を愛したのか、と激情の渦の中で自問した。骨と皮の婆さんだ、と自答した。(p36)
今日までの愛の歓びなど砂を嚙むようだった。あくびひとつせずによくもあんな風にやってこれたとは全くもって驚きだ。(p36)
・女でした!!!❤(狂喜乱舞)かくしてロシアの姫君、ナターシャちゃん(マルーシャ・スタニロヴスカ・ダグマール・ナターシャ・イリアナ・ロマノヴィッチちゃん!)と知り合い仲良くなったオーランドーくん。もうおわかりの通りゾッコンです。ユーフローシニーとは遊びだったのね!!今遊びだったと気づいたよ!!
・ナターシャちゃんと比べれば今まで抱いた女などウンカス以下のババアよと振り返るオーランドー。見てくださいエリザベス1世は泣いているんですよ。
姫君は続けて訊く。この田舎者は一体どなたですの?あたくしの傍に坐っている馬丁みたいにお行儀の悪いこの方々は?あたくしのお皿によそって下さったこの吐き気のしそうなものは何でしょう?お国では犬が人間と一緒にお食事をしますの?あのテーブルの端っこでメイポール(下手くそに飾りたてた丸太ん棒)みたいに髪を結い上げた滑稽な人はほんとに女王様?そして王様はいつもあんなによだれを垂らしておられるのですか?あの気取り屋さんたちのどちらがジョージ・ヴィラーズでしょうか?(p37)
・オーランドーがロシア語を解するとわかるといなや、周りには伝わらぬ驚きの問答の数々をまくしたてるナターシャちゃん。最初こそ驚いたオーランドーでしたが、その茶目っ気たっぷりな言い方に思わず可笑しくて笑ってしまいます。ナターシャちゃん、現代に直すとあーしとか言うギャルなのかもしれない。そして負けじと流暢なロシア語でブラックジョークを交わしていくうちに、二人は密接な関係になっていきました。
・ジョージ・ヴィラーズ:バッキンガム公。ジェイムズ一世の側近として権力を振ったが、1628年に暗殺された。しらんけど
■チャート6:恋!そのすてきな女狐がオーランドーを行動させたッ!
ロシア女(と皆呼んでいたのだが)をそりに乗せてやったり、ダンスにいざなったり、落とした水玉模様のハンカチを拾ってやったり(p38)
・ナターシャ改めロシア女。賓席の子女に対する呼称とは思えないド直球表現がお素敵。
・ユーフローシニーという婚約者がありながらロシア女につきっきりで、周りにわからないロシア語で互いに連日イチャつくオーランドー。知らぬ言語を用いてやりとりしているとはいえ、その様子は恋人そのもの。周囲にもオーランドーとロシア女がデキているのだとバレバレでした。拾ってやったりラジバンダリ
皆、オーランドーが婚約済みと知っている。そのマーガレット・オブライエン・オデア・オライリー・ティアコネル姫(というのがソネットのユーフローシニーの正確な名前なのだが)は、オーランドーが贈った見事なサファイアの指環を左手中指にはめていた。(p38)
生来おっとりと、なかなか怒ったりしない女だし、異人風情にオーランドーの愛を奪われるなど、ひとり信じようとしなかったのだが、そのマーガレット姫にさえ、わが心の平安をかき乱す何事かが持ち上がりかけている、と感づき始めたのであった。(p39)
・良妻賢母になるハズだったユーフローシニーちゃん、婚約者であるオーランドーがぽっと出のロシア女にお熱な事にじわじわと焦りを感じ始めます。ありったけのハンカチをばら撒いてみても拾ってくれず。そりに乗るのに奴隷の手を回される。うせやろ?ユーフロちゃんの自己肯定感が乱れる!
・とうのオーランドーはというと、ロシア女のやりたいことなら何でもしてあげていました。宝石店を見たがったので一緒に行っていろいろおごっちゃうし、罪人の首も見たがったのですぐに手を引いて見せに行きます。王宮の人々はわがままで口の悪い(王宮の悪口を大声で言いふらすし)ロシア女に怒りすら募らせるのですが、二人は知らんふりで様々なことを楽しみました。
オーランドーとサーシャ――と彼女のことをこうつづめて呼んだのは幼い頃そういう名の白いロシア狐を飼っていたからで、そいつは雪のように柔らかなのに鋼の歯をしていて、こっぴどく噛まれたものだから、父上が殺させてしまわれたのだったが――(p40)
・ナターシャ改めロシア女改め女狐サーシャちゃん。ただしペットの狐はオトンの手回しで殺されたという不穏さを残す思い出話です。
この私生児みたいな剣は一体何ですの?あたくしの傍に掛けているロングソードみたいに短いこの大剣は?つづく。
コメントをお書きください